流れ関数と速度ポテンシャルについて

  • 流体研の学生
  • 2015/05/14 (Thu) 11:23:54
流れ関数と速度ポテンシャルについて質問させてください。

KENZOUさんの作られた資料でも、その他の参考書、インターネット、全てに共通しているのですが、流れ関数と速度ポテンシャルとは何なのでしょうか。ひょっとしたらすごく初歩的な質問なのかもしれませんがよくわかりません。

流れ関数と速度ポテンシャルがどう表式されるのか、複素速度ポテンシャルにどう活用されるのか、などはわかります。でもその物理的な意味というのが全くわかりません。流れ関数と速度ポテンシャルの役割って何なのですか?あるとどういうことが言えて、無いとどうなるのですか?粘性流体では全く用いないのですか?

どうか教えてください。

Re:流れ関数と速度ポテンシャルについて

  • KENZOU
  • 2015/05/14 (Thu) 16:11:45
流体力学のレポート第4話をよく読みましょう。その上で一体何がわからないのか、わからない点を具体的に示しましょう。

Re:流れ関数と速度ポテンシャルについて

  • 流体研の学生
  • 2015/05/16 (Sat) 15:10:41
流体力学のレポート第4話をよく読みました(実は2回目です)。

しかしわからない点は上で書いた通りです。

流れ関数と速度ポテンシャルの役割って何なのですか?

あるとどういうことが言えて、無いとどうなるのですか?

粘性流体では全く用いないのですか?

ここで例えばの話ですが、管路内のポアゼイユ流れを2次元粘性流体で再現しようと数値計算する際には、流れ関数や速度ポテンシャルを考慮することはしません。

これより、流体の流れを考えるには、流れ関数や速度ポテンシャルを必要としないと考えます。

しかし流体力学を学ぶと、流れ関数と速度ポテンシャルが登場します。

なぜ登場するのですか?

一般の人は理解しているかもしれませんが、学習するスタンスが悪いせいか、僕には理解できません。どうか教えてはもらえませんでしょうか。

Re: 流れ関数と速度ポテンシャルについて

  • KENZOU
  • 2015/05/17 (Sun) 11:12:37
流体研の学生さん,こんにちは,KENZOUです。
最近,質問をしっぱなしで何の返信もない書き込みに少し嫌気がさしていたので,そっけない返信で失礼しました。

さて,ご質問の件ですが,
>流れ関数と速度ポテンシャルがどう表式されるのか、複素速度ポテンシャルにどう活用されるのか、などはわかります。

流れ関数と速度ポテンシャルの数学的な取り扱いは熟知されているようなので,説明は省略します。


>管路内のポアゼイユ流れを2次元粘性流体で再現しようと数値計算する際には、流れ関数や速度ポテンシャルを考慮することはしません。これより、流体の流れを考えるには、流れ関数や速度ポテンシャルを必要としないと考えます。

現実の流れ(粘性流体)を解析する際,微分方程式の厳密解(解析解)が得られないのが普通ですね。このため数値計算でゴリゴリ解いていかざるを得ないと思いますが,これはあくまで解を求めていく手段の一つで,物理的な側面は単に微分方程式の境界条件の中に閉じ込められてしまうと思います。たしかに流れ関数や速度ポテンシャルなどが登場しませんが,だからと言って不要と考えるのは少し飛躍があるのではないでしょうか。


>流れ関数と速度ポテンシャルの役割って何なのですか?

現実の流体の流れは複雑なため,単純なモデルを考えて簡単な流れから流体の物理的・数学的な性質を明らかにし,次にそれをベースに次第に複雑な要素を取り込んで解析を進めていくというのが一般的です。流れ関数や速度ポテンシャルは非圧縮性流体というある意味理想化された流体を記述する際に登場してきますが,これらの概念を使うことで非圧縮性流体のもつ数学的な構造が明確になり,流体の理解が深まるというメリットがあると思います。粘性流体でも粘性を極端に小さくしていけば理想流体に近づきますね。
以上,解答になっていないかもしれませんが,ご検討ください。

Re: 流れ関数と速度ポテンシャルについて

  • 流体研の学生
  • 2015/05/18 (Mon) 15:46:39
こんにちはKENZOUさん。

ポアゼイユ流れに流れ関数や速度ポテンシャルが不必要と考えるのは少し飛躍があるとのことなので、これ以降、流体に関する学習、および数値計算による流れ解析には、そのような側面を考えながら遂行するというスタンスをとろうと思います。

また、流れ関数と速度ポテンシャルの役割ですが、これに関しては、粘性が流体に及ぼす物理的作用(ある流体粒子が隣の流体粒子を引っ張るような作用)を、ポテンシャル流れにおいて、流れ関数もしくは速度ポテンシャルが代替しているというように解釈しましたが、この認識でよろしいでしょうか?

何度も何度も質問してすみません。

御手数をかけます。

Re:流れ関数と速度ポテンシャルについて

  • KENZOU
  • 2015/05/18 (Mon) 18:36:45
流体研の学生さん,こんにちは,KENZOUです。

>何度も何度も質問してすみません。

welcomeですから気になさらないように。

>流体に関する学習、および数値計算による流れ解析には、そのような側面を考えながら遂行するというスタンスをとろうと思います。

少し復習してみます。流れ関数一定(Ψ=C)の曲線は流線を表し,2本の流線Ψ1,Ψ2上にそれぞれ点A,PをとるとAPを結ぶ線を単位時間に通過する流量Qは
     Q=Ψ2-Ψ1
で与えられました。つまり質量保存則を表しています。このことから,流れ関数はなにも理想流体であるポテンシャル流だけに固有のものではなく,非圧縮性粘性流体でも存在する一般的な概念と言えると思います。

>流体粒子が隣の流体粒子を引っ張るような作用を、ポテンシャル流れにおいて、流れ関数もしくは速度ポテンシャルが代替している

渦なし流れでは,あるスカラー関数Φの勾配が流速に等しくなるという関数Φが存在し,関数Φの勾配が速度を与えることからΦを速度ポテンシャルと名付けました。
   u = ∇Φ
粘性は応力(テンソル)を生み出しますね。粘性流体(ニュートン流体)のせん断応力は
   τ=μ(du/dy)
で,速度勾配に比例することからご指摘のような発想がでてくると思いますが,代替しているかといわれると残念ながら浅学の小生には即答できかねます。

なお,速度ポテンシャルに関しては,私は持っていませんが,コロナ社から新井 紀夫著「複素流体力学ノート」という本がでていて(Amazonに載っています),その前書きに「粘性流を解くには,現実的にはナヴィエ・ストークス方程式を数値的に解くことになるが,粘性流,せん断流とはなんぞやという物理的理解がなくても,ある程度解けてしまう。しかし,物理的理解が欠けた状態で数値解を眺めても,間違いのどつぼにはまるだけである。そこで,本書では複素速度ポテンシャルの考え方のみで粘性流を理解していくことを目指す。」と書かれています。なにかヒントが詰まっていそうですね!

Re: 流れ関数と速度ポテンシャルについて

  • 流体研の学生
  • 2015/05/20 (Wed) 22:11:05
KENZOUさん、こんにちは。

説明していただいた、流れ関数から質量保存則へのアプローチ、速度ポテンシャルと速度、粘性による応力から、何かわかりそうな気がします。

また、「複素流体力学ノート」という本の紹介までしていただいてありがとうございます!これにはなにかヒントが詰まっていそうなので早く調達して読んでみます。

このまま勉強し続けていれば、何か見えてきそうなきがします!

多くのヒントをありがとうございました!

これまでの学習内容と、これらのヒントを頭の中でもう一度まとめてみることにします!
(投稿前に、内容をプレビューして確認できます)