光子は定常波に対応するのでしょうか?

  • ハナトク
  • 2021/07/22 (Thu) 18:12:18
はじめまして、ハナトクと申します。
黒体輻射に関して自力で解決できず、質問させてください。

黒体輻射のエネルギー分布は、レイリージーンズから始まり、ウィーンの変移則を経て、最終的にプランクの輻射式であらわされました。
レイリージーンズでは、空洞内の電磁波の定常波1モードあたりkTのエネルギー等分配で考えていますが、プランクの輻射式は光子のエネルギーhνが離散的であることから導かれます。
ここで、混乱しているのですが、2点あります。

まず、レイリージーンズの段階で定常波の振動数νは離散的なのではないのでしょうか?(離散的なのに振動数で積分して良い?)
プランクの輻射式でエネルギーhνが離散的であることとの違いは何でしょうか?

次に、レイリージーンズで考えている電磁波の定常波1モードが光子1個に相当するのでしょうか?(もしそうするならば、同じモードの定常波でも体積が2倍になると光子2個に増えるのでしょうか?)

よろしくお願いいたします。

Re: 光子は定常波に対応するのでしょうか?

  • KENZOU
  • 2021/07/24 (Sat) 09:22:01
ハナトクさんこんにちは,KENZOUです。

>レイリージーンズの段階で定常波の振動数νは離散的なのではないのでしょうか?(離散的なのに振動数で積分して良い?)


定常波の振動数νとは「固有振動数」のことを言われていると思いますが,確かに3次元振動では固有振動数は3個の正の整数(nx,ny,nz)の組で番号付けることができるので,そういう意味で離散的と捉えることもできますが,これと量子力学でいう離散的という意味をごっちゃにするとまずいです。

少し復習すると,3個の正の整数nx,ny,nzは波の「節の数」と関係し,振動数は

ν=√(nx^2+ny^2+nz^2)*(c/2L) c:光速,L:箱の一片の長さ

で表されました。そこでx=(c/2L)nx,y=(c/2L)ny,z=(c/2L)nzというスケールをもつ3次元x,y,z空間を考えると,固有振動数を表す点はその空間内の1つの点で表され,原点からその点までの距離が振動数を与えることになりますね。
νとν+dνの振動数の範囲内に含まれる固有振動の数は第1象限の球殻に挟まれた空間の中にある碁盤目の数を数えればいいわけです。1つの碁盤目の体積は(c/2L)^3,当該球殻の体積は4πν^2dν/8ですから求める数は(4πL^3/c^3)ν^2dνとなります。


>プランクの輻射式でエネルギーhνが離散的であることとの違いは何でしょうか?

本質的に異なります。プランクの式はエネルギーが量子化されている(最小エネルギー単位がある)ろいう仮定の上に導出されていますが,レイリージーンズの式はあくまでエネルギーは連続量であるという古典的立場を踏襲しています。

私の下手な説明を読むより「すばらしき物理学の世界!」
https://phys-world.com/2018/10/19/post-169/
というBlogの記事を一読されたほうが理解が進むかもしれませんね。また,朝永の量子力学Ⅰには詳しい説明が載っていますので,図書館で借りるのもよいと思います。

>レイリージーンズで考えている電磁波の定常波1モードが光子1個に相当するのでしょうか?

これは上の理解が進めばわかると思いますので,ご自分で追求してみてください。




Re: 光子は定常波に対応するのでしょうか?

  • ハナトク
  • 2021/07/25 (Sun) 18:22:07
KENZOUさま

お返事ありがとうございます。
レイリージーンズの段階の定常波はあくまでモードの数を求めるためで、振動数は連続量なのですね。
量子力学で井戸型ポテンシャルなどで電子の固有状態を求めるときの定常波の条件と混同してしまいました。

「すばらしき物理学の世界!」の紹介もありがとうございます。
恥ずかしながら、朝永の量子力学Ⅰは持っていて、該当部分を読んでいたのですが、自分はモデルの基礎となる常識(?)の部分が分かっていないようです。
式から読み取ることを心がけようと思います。

ありがとうございました。
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