4元運動量におけるエネルギー

  • ハナトク
  • 2025/09/23 (Tue) 15:27:24
ハナトクです。お久しぶりです。
迷ったときばかり来てすみません。
簡単なことな気もするのですが、どうにも迷って抜け出せなくなりました。

「4元運動量の時間成分はエネルギーだ」と言われますが、これは反変成分でしょうか、共変成分でしょうか?
特殊相対論では正負の符号以外違いはありませんが、一般相対論になって重力場を扱うと差が出てきますよね?

というのも相対論の流れとして、エネルギーは特殊相対論で多くの教科書では4元運動量の反変成分として紹介され、その後これが一般相対論でも拡張して使われます。
ところが、一般相対論ではエネルギーは4元運動量の共変成分として現れます。
なぜ最初からエネルギーを4元運動量の共変成分として「定義」しないのでしょうか?何か理由がある様な気がするのですが分からないでいます。
ご教授をお願いできないでしょうか?

Re: 4元運動量におけるエネルギー

  • KENZOU
  • 2025/09/24 (Wed) 10:22:04
こんにちは、KENZOUです。

つかぬことをお伺いしますが、ハナトクさんは学生さんですかそれとも社会人?

>一般相対論ではエネルギーは4元運動量の共変成分として現れます。

ちょっと意味が分からず、、、具体的に数式があればいいのですが。 

特殊相対論では4元運動量ベクトルの時間成分が(E/c)で、エネルギーと関係しましたね。
一般相対論ではエネルギー・運動量テンソル(反変テンソル)のT^{00}成分がエネルギー密度ですね。

特殊相対論と一般相対論の大きな違いは前者は時空間の性質自身が変化しないが、後者は変化し(時空間の曲がり)、この影響を理論に取り込んでいるということでしょうか。

HPにアップしている一般相対論のRepで腑に落ちない点を指摘いただければそれなりに対応もできるかと思います。


Re: 4元運動量におけるエネルギー

  • ハナトク
  • 2025/09/24 (Wed) 20:13:19
KENZOUさま、いつも質問だけしてすみません。
私は初めてこの掲示板に書き込ませてもらったときは学生でしたが、今は社会人です。今は空いている時間にただ本を読んでいるだけなのですが、なんとか学生時代よりスッキリ理解したいと思って続けています。

>特殊相対論では4元運動量ベクトルの時間成分が(E/c)で、>エネルギーと関係しましたね。
一般相対論ではエネルギー・運動量テンソル(反変テンソル)のT^{00}成分がエネルギー密度ですね。

本でもそう表現されているのですが、エネルギーが反変成分なのか?というところが揺らいでいる状態です。

一般相対論のKENOZUさまの原稿にはないのですが、例えば弱い重力場での計量は
ds^2 = -(1+2φ)dt^2 +(1-2φ)(dx^2 +dy^2 +dz^2)
となりますが、ここで静止質量に関して
-m^2 = g_ab p^a p^b
を計算して書き下してやると
(p^0)^2=[m^2 + (1-2φ)((p^1)^2+(p^2)^2+(p^3)^2)]/(1+2φ)
となり、
ここで弱重力場の近似φ<<1と非相対論的極限m^2 >>((p^1)^2+(p^2)^2+(p^3)^2)を使うと、
p^0 ≒ m - mφ+ ((p^1)^2+(p^2)^2+(p^3)^2)/2
となり、ポテンシャルエネルギーの部分が負となってしまいます。

これに対し共変成分であるp_0を計算してやると
-p_0 ≒ m + mφ+ ((p^1)^2+(p^2)^2+(p^3)^2)/2
となり、いわゆる粒子の持つ力学的エネルギーの形になります。
そういう意味ではエネルギーは4元ベクトルの共変第0成分になり、反変成分では弱重力場でニュートン物理を再現しない様に私には見えてしまっているのです。

ポテンシャルエネルギーを考えない特殊相対論では共変と反変では差がでませんが、
一般相対論ではどうにも4元運動量の共変成分をエネルギーと定義しているようでもあります。
例えばシュバルツシルト解やカー解で粒子のエネルギーや角運動量は-p_0やp_φで「定義」している本を良く見かけます(シュッツや佐藤勝彦など)。
また、解析力学形式で書いた場合の共役運動量P_iも
P_i = ∂S/∂x^i
となり、共変成分です。

ポテンシャルエネルギーを粒子に持たせる発想そのものがダメなのかも知れませんが、共変成分の方がニュートン力学と共通点が多く見えてしまって混乱しています。いかがでしょうか?

Re: 4元運動量におけるエネルギー

  • KENZOU
  • 2025/09/25 (Thu) 12:11:39
こんにちは、KENZOUです。

つかぬことをお伺いしてすみませんでした。それにしてもあくなき探求心には感心します。

さて、ご質問の件ですが、シュルツの「相対論入門(下)」7.4保存量の節で論じられていますね。ここをよく読むと
  
 ・定常的な重力場があるとする。するとメトリックの成分が
  時間によらない座標系を見つけることができる。そのよう
  な系ではp_0が保存する。したがって、p_0はふつう”その系
  での”という断りなしに粒子のエネルギーと呼ばれる。

 ・一般の重力場は、どんな座標系でも定常的ではなく、
  したがってどんな保存エネルギーも定義できない。

  
等々、と書かれています。

>4元運動量の共変成分をエネルギーと定義

というのはある意味特殊な場合と考えられ、理論を一般化すると反変テンソルでの記述になるのではないかと思います。
(反変→共変への変換は一義的)

あまりご参考にならないかもしれませんが、再検討ください。

私自身一般相対論のリハビリが必要な状態です(^^);。

Re: 4元運動量におけるエネルギー

  • ハナトク
  • 2025/09/25 (Thu) 20:02:05
KENZOUさま、お返事ありがとうございます。

確かに
>>4元運動量の共変成分をエネルギーと定義
>というのはある意味特殊な場合と考えられ、理論を一般化すると反変テンソルでの記述になるのではないかと思います。
>(反変→共変への変換は一義的)
そうですね。

4元運動量の反変成分は重力場のエネルギーがない場合のみ記述しているのかな、と思ったのですが、
弱重力場の近似では妙な形で入って、もはや粒子のエネルギーと言えない形になっているので、混乱している感じです。

もう一度他の本も当たりながら考えてみます。
いつもありがとうございます。
(投稿前に、内容をプレビューして確認できます)